デジタルトランスフォーメーションとは?

デジタルトランスフォーメーション(DX) は、アナリストやコンサルタント、オピニオンリーダーたちによって議論されてきました。DX は、すべての業界のすべての企業が取り組まなければならない課題です。なぜ、これほどまでに注目されているのでしょうか?それは、DXにより企業はそのビジネスプロセスだけでなく、ビジネスモデルの更新も迫られているからです。DX に取り組むすべての企業が、モバイルやウェアラブル、その他のデバイスを通じて、顧客のニーズに応える戦略や戦術だけでなく、顧客が企業のサービスや製品に関与する方法について再考しているのです。

what is digital transformation

デジタルソリューションによるビジネスの変革

DX とは事業のあらゆる要素をいかにデジタル化するかを考えて、全体を動かしていくことに他なりません。なぜなら、現在、デジタルテクノロジーを利用していない事業は存在しないと言っても過言ではないからです。今は、あらゆるものをデジタル化し繋げることができる時代です。企業の (デジタル) テクノロジーに対する考え方も更新しなければなりません。自動車保険の契約、ペットフードの購入、映画の鑑賞方法まで、すべてがデジタル化されています。これらサービスや製品へのアクセスは、何十万通りもの方法が存在しており、企業はそれらすべてを用意する必要があります。DX に取り組んでいる企業は、「トランザクションシステム」から「エンゲージメントシステム (SOE: System of Engagement)」に移行しようとしています。SOE では、顧客から情報を抽出し、その情報を基にパーソナライズされたリッチな体験を顧客に提供します。それにより、顧客の生涯価値が高まるだけでなく、企業のサポーターになってくれることでしょう。

このような充実したインタラクションを実現するためには、企業は顧客データにアクセスしなければなりません。企業は、何十年もかけて収集したデータや製品情報、消費者の購買行動など、『生の資産 (Raw Data)』を保有しています。今、すべての CIO が解決しなければならない難題は、「これらローデータ資産をどのように活用し、自社の競争優位に変えていくべきか」ということです。

CIO は、もう 1 つの課題にも直面しています。企業は数多くの新テクノロジーを導入していますが、その多くを担当しているのは IT 統括部門ではありません。事業部門 (のシャドー IT) なのです。マーケティング、セールス、ファイナンス、カスタマーサービスなど、あらゆる業務でデジタルテクノロジーへのニーズが高まっています。IT 統括部門の運営方法が今のままでは、事業部全体の技術ニーズに応えることは不可能でしょう。企業の持続的な成長のために、ますます重要になっている『接続性』と『統合性』をアップデートしなければなりません。統合の意味は、単純なシステムのバックアップから、誰もが必要なデータにアクセスできるようにすることへと変化しています。

データ管理担当者としての CIO

バックエンドサービス、データ、アプリケーションを接続する最もわかりやすい方法は、Web アプリやモバイルアプリを通じて、顧客と密接な関係を築けるようなサービスを提供することです。テクノロジーの進化に伴い、顧客へのアプローチ方法も増え、その関わり方も変化しています。

CIO や経営陣が、アプリケーションを理解するだけでは十分ではありません。そのアプリケーションを利用する顧客や消費者が何を求めているかを理解しなければなりません。これは CIO や IT リーダーが、事業部門やビジネスパートナーと連携する必要があることを意味しています。非常に重要な変化です。アプリケーションを所有し、アクセス権を与え、それを管理するだけでは十分ではありません。社内外のアプリケーションの利用者が何を必要としているかを見極め、その機能を提供・強化しなければならないのです。IT 部門は、プロジェクト単位でアプリケーションを考えるのではなく、優れた顧客体験を提供することを実現しなければならなくなったのです。

この変化はかなり劇的だと言えるでしょう。 Fortune 1000 のような大企業には、アプリケーションへのリクエストがあらゆるところからくるようになりました。マーケティング、オペレーション、サプライチェーン、セールスなど、あらゆるところからです。すべての事業部門が、データにアクセスするためのアプリケーションを必要としていることは明白です。事業部門が利用するアプリケーションは、シンプルで、わかりやすく、使いやすくなければなりません。また、拡張性があり、機能的かつ充実しており、使っていて楽しいテクノロジーが求められます。そして、そのようなアプリケーションを IT 部門に問い合わせる事業部門は、残念ながら存在しないのです。

新しいデジタルワークフロー

このようなアプリケーションを作成するために、企業内には IT 部門に属さない新しいタイプのテクノロジービルダーが存在しています。彼らは、事業部門に所属するアプリケーションデザイナーモバイル開発者アーキテクトです。彼らは IT 部門と協力し、アプリケーションの構築に必要な情報やデータを適切に入手するか、IT 部門に見つからないように作業をするか、いずれかの方法でアプリケーションを構築しています。

多くの企業において IT 部門が、構築済みのサービスやアプリケーションの情報を用意しているわけではありません。中央管理されたリソースやデータへのアクセスが必要な場合、事業部所属の開発者は IT 統括部門を通さずに独自のアプリケーションを構築しています。これは、アプリケーションのユーザーに優れた体験をもたらす理想的な方法ではありません。IT 統括部門が、本当に重視すべきなのは、「データの管理」と「アプリケーションへのアクセス管理」です。これらを適切に管理することで、IT 統括部門はデータおよび企業 DNA の管理者となり、誰がデータにアクセスし、何のためにそれを使用しているのかを理解することができるのです。

『接続性』の獲得によって、データセンターに埋もれていたデータ資産を利用できるようになります。つまり、新製品や新しいデジタルサービスが、それを必要としている人々に適切なデータに基づいたエクスペリエンスを届けることが可能になるのです。だからこそ、API に大きな注目が集まっているのです。API はビジネス戦略を実現させるための推進力となるでしょう。企業は API を使用して、顧客やサプライヤー、従業員など、組織に関係するさまざまな人々に貴重なデータを解放することで、その価値の提供を実現できるようになります。

DX がビジネスを後押しします

データやデジタル資産を外部から遮断するというサイロ化組織はもう形態でしょう。現代の企業は、データへ自由にアクセスできビジネスに積極利用できる『コネクテッドカンパニー』へと変化しています。あらゆるものが繋がった状態で事業を遂行することを経験した企業は、大きな成果を得られています。