デジタルトランスフォーメーションのロードマップを作成する

デジタルトランスフォーメーション(DX)は、すべての企業が生き残りを掛けて取り組まなければならない最重要課題です。現在、お客様は新しいエクスペリエンスを、パートナー企業は正確かつ最新の情報へのアクセスを、そして、社員は場所を選ばず仕事ができるような高い利便性を、自社システムを求めています。DXを途中で断念することなく完了するために、ロードマップを描くことは必須です。

MuleSoftは、1,000人以上のIT意思決定者(ITDM)を対象に調査を行いました。その多くがDXに取り組み中と回答。いくつかの共通点が存在していました。共通点のひとつは、回答者の90%が所属先の組織はすでにAPI戦略を導入済み、もしくは年内に導入する予定だと回答していることです。そして約94%の回答者が、API戦略によって利益を獲得していると実感しています。これはAPIが企業のアジリティを高め、次世代のサービス指向アーキテクチャであると同時に、企業が新製品(や親サービス)を上市する重要な手段にもなっていることを示唆しています。実際、ITDMの半分近くが、APIから$1〜$1,000万ドルの利益を得ていると述べています。これはDX達成までの長いプロセスの初期段階であると言えるでしょう。多くの企業が、収益源の一部を従来型のビジネスモデル(またはその付加的ビジネス)から、デジタルチャネルに移行しつつあります。

CIOには、新しいITサービスを組織全体に提供しなければならないというプレッシャーが高まっています。実際、調査に回答いただいたIT担当役員の3分の2が、その他部署からのプレッシャーが「激増」していると回答しています。マーケティングや営業だけでなく、財務やオペレーション、研究開発、C-Suiteといったさまざまな部門から新しいテクノロジーソリューションの導入支援を求められています。

このままではいけないということは明らかです。
そして、この変革は非常に大きな利益を生み出す可能性があります。そのためには、IT(部門)を、ゲートキーパーではなく、ビジネスのための戦略的パートナーとして位置付け、権限を与えるべきでしょう。これによりCIOは、社内外の関係者のために、充実したやりがいのあるエクスペリエンスを提供できるのです。そのため、IT部門は他の事業のために、DXのロードマップを主導的に策定することが可能となります。時間が経過するにつれ、事業部門から欠くことのできない「パートナー」として頼られる存在になることでしょう。

DXのためのフレームワーク開発

Creating a Digital Transformation Roadmap

多くの企業とCIOは、APIを介して機能を提供するために、自社のITアーキテクチャを徹底的に見直そうと務めています。企業のIT部門は、APIによりアクセス可能になったサービスにより、これまでの集約した(大きな)組織ではなく、何百、何千もの異なるアプリケーションで構成される『(小さな)組織』へと変わりました。

従来のIT、とりわけインテグレーションでは常に容量が大きくて重いアプリケーションとミドルウェアを接続することが求められてきました。それにより、綿密なワークフロープロセスとシステム間で伝播される情報しか得ることができず、非常に重く実行にかなりの時間を要していました。

時計を少し戻して話を進めます。SaaSが主流になり始め、すべてではないにしろ、ほとんどをクラウドに移行しようとする多くの企業が、SaaSを事実上のプラットフォームとしています。しかし、SaaSの課題は、環境がより分断されやすいことです。そこで、SAPやOracleのように1つのプラットフォームですべてをカバーする時代ではなく、特定のビジネスニーズに最適化して作られたアプリケーションが登場してきました。

DXのためのベストプラクティス

DX戦略を立案するには何から始めればよいのでしょうか?CIOは自らの役割を改め、IT部門は組織体系を変えることで、DXがもたらす機会に迅速に対応し、それを活用しなければなりません。これらの変革を実現するためのロードマップは明確です。現代の企業に利益をもたらすために、取り入れるべき3つのトレンドがあります。

  • (IT部門が)ビジネスの戦略的パートナーになる
  • インテグレーションをCIOの主要な役割として受け入れる
  • プロジェクトではなく、(ビジネス)機能を創り出す

ビジネスの戦略的パートナーになる

まず、IT部門は事業部門や他部門にとって戦略的パートナーでなければなりません。単なる技術提供者ではなく、ビジネス機能の提供者であり、ビジネス能力の強化の源(Enhancer)でなければならないのです。「プロジェクトを終わらせる」のではなく、「ビジネス機能を提供する」という考え方に変えるのです。ビジネス機能を提供することで、従業員にとってITがより利用しやすいものになります。さらに、従業員によるセルフサービステクノロジーを普及させ安くなることでしょう。

インテグレーションをCIOの主要な役割として受け入れる

CIOの "I "は、今や、インテグレーションのことを意味します。CIOは、顧客とビジネス資産(データやアプリケーションなど)をいかにうまく結びつけるかが勝負となっています。どの企業も、クラウドへの移行に伴い、すべてのアプリケーションを共有し、モバイルデバイス上で同じエクスペリエンスを実現しようとしています。今日、競争力の向上や効率化を推進するのはバックエンドシステムではありません。それらは既に揃っていると言えるでしょう。新たな製品やサービスを生み出すために、いかに早くイノベーションを提案し、組織内でそれを実現できるかが重要なのです。

プロジェクトではなく、機能を創り出す

IT部門は利用者を理解し、彼らの力を高めなければなりません。そのためには、IT部門があらゆる分野のビジネス戦略を理解するだけでは足りません。そのビジネスが実際に必要とするものを、(誰かが)それに気付く前に先取りすることを意味しています。IT部門が、ビジネスの目標を理解していることは必須です。また、現在のプロジェクトだけでなく、将来の可能性も把握しておくことも必要です。

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