SAPとSalesforceの連携

概要

SAPは、最も多くの企業に使用されているエンタープライズリソースプランニングソリューション(以下ERP)であり、重要なビジネスプロセスにおいて中心的な役割を担っています。一方、移り変わりのはやい競争市場に対応するため、企業はビジネスプロセスをできる限り自動化することを望んでいます。ビジネスプロセスを完全に自動化および最適化するためには、SAPと他のアプリケーションを接続・統合することは必須と言えるでしょう。

SAPのインテグレーションにおいて最も一般的なのは、CRMとの統合ではないでしょうか。SaaSアプリケーションのパイオニアであるSalesforceは、CRMのリーダーとして評価されています。導入企業の多さや組織内で担っている役割の大きさから、SAPとSalesforceの接続・連携・統合を多くの企業が計画しています。

この記事では、SAPとSalesforceの連携におけるユースケースやメリット、課題、新しいアプローチなどを説明します。

SAPとSalesforceの連携のユースケースとメリット

SAPとSalesforceのインテグレーションとは、当然ですが、2つのシステム間でデータが接続・同期されることです。たとえば、新規顧客の情報がSalesforceに入力されると、そのデータがSAP内の財務情報や業績管理、その他のビジネス機能とタイムリーに同期され利用可能になることが重要です。

SAPとSalesforceのインテグレーションの代表的なユースケースは、以下の2つになるでしょう。

  • SAPとSalesforce間でマスター製品リストを同期する
  • Salesforce内の成約済みの商談データを、SAPに送信し請求書を自動作成する

SAPとSalesforceが適切にインテグレートされているならば、企業はビジネスプロセスを合理化し、完全な自動化が実現できます。SAPとSalesforceの連携により企業は、以下のビジネスメリットも得ることができます。

  • データの二重入力が不要になり、時間とコストを削減できる
  • データの手入力の回避と入力ミスの削減
  • 組織の俊敏性の向上:新しいデータや情報への対応


SAPとSalesforceの連携の課題

インテグレーションプロジェクトは10年以上前からたくさん行われていますが、SAPとSalesforceの連携に起因する課題が注目され始めたのは最近のこととなります、Salesforceが普及する前、ERPとCRMのインテグレーションといえば、オンプレミスアプリケーションの統合を意味するのが一般的でした。しかしSalesforceはクラウドベースのCRMアプリケーションであるため、オンプレミスであるSAPとの統合には、クラウドとオンプレミスの違いを考慮した新しいアプローチが必要となっています。

さらに従来型のインテグレーション・アプローチでは、高いコストと複雑さが大きな課題となっていました。たとえばSAPとSalesforceのインテグレーションを実装するには、アプリケーション間を直接つなげるポイント・ツー・ポイント型の接続が、(言葉は悪いですが)場当たり的に採用されてきました。しかし、このようなアプローチでは、2つのシステム間に緊密な依存関係が生じてしまいます。これでは全体システムが脆弱になるだけでなく、将来新しいアプリケーションやプラットフォームと接続・連携・統合するたびに、複雑さが増してしまうアーキテクチャとなってしまいます。

「SOAスタック」は、SAPとSalesforceをインテグレートするもう1つの方法です。SOAスタックは、アプリケーション間の疎結合を可能にし、顧客や市場の変化に迅速に対応できる優れた柔軟性を組織に提供します。ただ、大手ベンダーが提案するSOAスタックは、機能が過剰であることが多く、初期費用が膨大になるだけでなく、実装に数年を要すると言われています。


Mule as an ESB: SAPとSalesforceの最適な連携アプローチ

(一時しのぎな)ポイント・ツー・ポイント接続や、(高コストな)SOAスタックに代わるアプローチとして、ESB(Enterprise Service Bus)によるSAPインテグレーションがあります。一部のESBでは、SAPと他のアプリケーション(SaaSサービス含む)をインテグレートするための軽量なスタンドアロンソリューションを提供しています。

『Mule as an ESB』は、SAPインテグレーションにおいてSAPの認定を受けている唯一のESBであり、Muleの「SAP Enterprise Connector」では双方向通信が可能となります。以下の代表的なSAPテクノロジーとの接続が可能です。

  • Intermediate Documents (IDoc)
  • Business Application Programming Interfaces (BAPI)
  • SAP Java Connector (JCo)

『Mule as an ESB』では、業界最高レベルのCloud Connectテクノロジーを提供します。SAP認定のコネクタの提供に加え、Salesforceの多くのAPIとのインテグレーションを劇的に簡素化することが可能になります。

『Mule as an ESB』を使用することで、SAPとSalesforceのインテグレーションが、かつてないほど容易になりました。